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靴磨きのやり方、靴の選び方「本音」をプロが詳しく解説します

プロの目線で靴磨き、お手入れ、サイズ選びを解説します

外反母趾の原因と対策

※このエントリは医学的見地からではなく、あくまで靴の現場での感覚的な見解です

 

靴のつま先はだいたい狭まっていますが、足の先は広がっています

だから、靴に足を入れ込むと窮屈に感じるのは当たり前です

 

これって実は靴と足がせめぎ合ってる状態です

 

靴が負けると革が伸びて、足が負けると外反母趾、内反小趾になるんですね

 

※親指が小指側に曲がるのが外反母趾、小指が親指側に曲がるのが内反小趾です

 

ご自身の足の指それぞれの向きに延長線を引いて、それがもし交わればあなたの指も曲がってしまっています

 

ただ、外反母趾などは「それ自体が大問題!」というものでもなく、大事なのはその程度です

 

実際、先の尖った靴を履かない男性でも親指と小指が少し曲がってる場合が多いですが、本人は全く気づいてなかったりします

 

乱暴に言ってしまうと「少し曲がってるぐらいどうってことない」ってことですね

 

また、靴を履く文化のない民族でも外反母趾は見られるそうなので、本当のところ原因はよくわかってないようです

 

それでも先の尖った靴を履くとなりやすいのは間違いないようですね

更に、大事な要素として「ヒールの高さ」があります

 

外反母趾になってる人の足は、だいたい開張足になっています

開張足というのは指の付け根の「横のアーチ」が潰れている状態で、その真ん中あたりに魚の目ができる人は、この状態なっています

 

人間の足はアーチをバネにして衝撃を吸収しているので、それがなくなるといろいろと不具合が起きてくるんです

 

順番としては

 

・中指の付け根あたりに魚の目ができるようになる

・親指と小指が曲がり始める

・それがあるレベルを超えると痛くて歩くのが辛くなる

 

といったイメージです

 

つまり、魚の目ができた時点で「ちゃんと」対策を取るのがよさそうです

 

じゃあ対策は?というと指を元の位置に戻す矯正具や、指周りを鍛えるエクササイズもありますが、「ヒールの靴を履くことをやめる」のが効果的だと思います

 

ヒールでカカトを上げると、指の付け根あたりにかかる体重の比率が飛躍的に上がります

4センチヒールぐらいまではそうでもないですが、それを超えると体重の大半を指の付け根で支える形になります

 

そうすると、本来「カカト・親指付け根・小指付け根」の3点で体重を支えていたのが前2点に集中して、その結果、足の横のアーチが潰れてしまうんですね

 

そして、この弓なりのアーチがなくなると、指の横からの力に対するバネも無くなり、指が靴に負けてドンドン曲がっていきます

そうやって痛みを感じるまで変形の進行を放置してしまうと、そこから治療するにはかなり大変なようです

 

※「外反母趾 治療 」で検索してみてください

 

高齢になって回復力が低下する前に、まだ元気な若いうちに対策を取り、健康な足に近づけたいですね

 

といっても、仕事でヒールを履かざるを得ない方も多くいると思います

それならせめて通勤をスニーカーにしたり、休みの日はヒールを履かなかったりといった自己防衛が大切です

 

職場に靴をおいて置けるなら、通勤と仕事中で靴を履き替えるのがオススメです

通勤時の靴まで会社が指定してきたりしないハズ。

 

ちょっと邪魔かもしれませんが、健康と比べればどうってことないでしょう

 

職場の最寄り駅のコインロッカーを借りてもいいかもしれませんね

 

300円×1日2回出し入れ×20日出勤だと、12000円/月か・・

これはちょっとお高い気がしますが、検討の価値はあるかもしれません

 

なんせ靴は持つと意外と重く邪魔になりがちですよね

 

 

あと、仕事で普段からヒールを履いている方は、なぜか近所のコンビニにいくだけでもヒールを履いたりしがちです

ヒールの靴は「ここぞ!」というシーンで履くものなので、それ以外はなるべく履かないほうが足にとっていいのは間違いありません

 

また、立ちっぱなしの仕事ならアーチを守る中敷きを入れるべきです

ビルケンシュトックの中敷きのように「足の裏にピッタリフィットする」立体的な形なら、アーチにかかる負担も軽減できます

 

そもそも人間の足は立ちっぱなしに耐えられる構造になっていません

 

同じ場所に留まるなら、本来は座るのが自然です

そのためにお尻には分厚い脂肪のクッションがあります

 

足は先述の3点で体重を支えながら、それぞれを筋肉と靭帯のアーチで結んで、バネのように衝撃を吸収する構造になっています

つまり、歩いたり走ったりするための構造なので、それで長時間立ち続けること自体が不自然な状態なんですね

 

この「不自然という感覚」をちゃんと持っておくのが大事です

 

本来、靴を履くのも自然界からすると不自然な行為です

その不自然さの中でさらに「ヒールでカカトを上げる」ような不自然な行動を取るから、健康を害してしまうんだと考えています

 

そう考えると、ヒールはなるべく低いほうがいいし、ソールもできるだけ薄いほうがいい

薄いソールで足の裏が痛くなるなら、それは「足がなまっている」ということなんでしょう

 

ということは、その対策はクッションのいい厚めのソールの靴を履くことではなく、シッカリ歩いて足の裏を鍛えることなんですね

これが外反母趾などに対する効果的な対処方法だと考えています

 

※重症化した外反母趾には逆効果かもしれませんのでご注意下さい

 

この辺の「自然、不自然さ」を履き違えると、対策も間違った方に行きがちです

動物にとって「何が自然か?」を考えるのが大事だと考えています

 

長くなりましたのでこの辺にしておきます

 

まとめると

 

外反母趾になる初期症状は魚の目ができる

・その段階で対策を取るのが大事

・なるべくソールの薄い、ヒールのない靴でしっかり歩く

・悪化させないために必要以外にヒールの靴を履かない

・通勤時にペタ靴に履き替えるのも有効

・立ちっぱなしの仕事ならアーチを守る中敷きを入れる

・ヒールもできるだけ低いものを選ぶ

・動物として自然な行為を心がけ、不自然な時間を短くする

 

こんなとこかな

 

なお、現場にいてよく感じるのですが

 

外反母趾の方はサイズの緩い靴を選びがち」

 

ということがあります

 

親指の付け根が出っ張ってしまっているので、普通のピッタリサイズを選ぶとそこが当たって痛むからだと思います

でも、サイズの緩い靴を履くと足が前に突っ込むので外反母趾をさらに悪化させてしまいます

 

まさに悪循環。

 

最善の策は「ヒールの靴を履かない」ことですが、どうしても履く必要があれば、親指の付け根を部分的に伸ばしてもらうのがよさそうです

 

修理店に行くと「幅伸ばし」というメニューがある場合が多く、そのなかでもペンチのような工具で局所的に伸ばしてもらうのが効果的です

 

 

いずれにしても、歳をとってもシッカリ歩けるお年寄りになりたいですね

 

現場からは以上でーす

 

 

 

 

 

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