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靴磨きのやり方、靴の選び方「本音」をプロが詳しく解説します

プロの目線で靴磨き、お手入れ、サイズ選びを解説します

靴磨きのやり方をプロが解説 〜スエード編〜

スエードのお手入れに関してまず言いたいのは

 

「とにかく乾燥させるな!」

 

ということです

 

表革の磨きは「3回履いたら」とか「サイアク月イチで」とか言いますが、スエードは一日履いたら帰宅時の玄関で保革してください

 

それぐらい乾燥しやすいんです

(詳しくは後述します)

 

でも「履くたびに」なんて面倒で実際やってられませんよね?

なので、そのための簡単なお手入れ方法があります

 

それがブラッシングとスプレーです

 

 

ブラッシングは文字通りブラシをかけることです

 

スエードは絨毯のように毛羽だっていますので、ブラシで汚れを掻き出すイメージ。

その際に使うのはこういったブラシが便利。

 

 

もしくは百均の化繊ブラシでもOK

(上記は豚毛です)

 

これでガシガシと汚れをかき出しましょう

 

 

それでも落ちない汚れは専用のクリーナーを使います

 

こんなやつ

 

※いろいろな製品ありますがスエードクリーナーは基本どれでもいい気がします 

 

 

もしスエードの毛足が寝てテカテカしてしまったらスエードブラシで対処します

 

 

 

上のブラシはウレタンで、下のはゴムと金属ブラシがついています

状態のヒドさによってウレタン→ゴム→金属ブラシと、負荷を強めていってください

 

「金属ブラシなんて使うと傷がつくんじゃないの?」

 

という心配がありますが、大丈夫です、スエードは全体がすべて傷なんです

 

わかりにくいので専門家として説明しますね

 

ツルツルの表革の表面(銀面といいます)にバフがけをして毛羽立たせたのがスエードです

要は紙やすりで表面をガシガシこすった状態だと思ってください

 

そうやって「傷つけて毛羽立たせている」のがスエードなので、金属ブラシを使っても「さらに毛羽立つ」だけで済みます

 

※もちろんやりすぎるとケバケバになりますので、どうしても毛が起きないときにだけ使用してください

 

そうやって、1日の汚れをかき出し、取れない汚れにクリーナーを使い、専用ブラシで毛を起こした後は、保革です

 

これもいろいろな商品がありますが、プロとして信頼して使用しているのはこちらです

 

 

全体にスプレーして放置するだけなので「履く度の手入れ」でもそこまでメンドウじゃありません

 

一つだけ注意点は、スプレーするとどうしても飛沫が床に付着します

 

これがメチャ滑る!

 

玄関が滑るとメチャ危ないので、外のアスファルトの上で行ってください

 

 

なぜここまで保革にうるさいかというと、先述したようにバフがけして毛羽立たせているからです

 

毛羽立っていると油分を守るバリアがないので、ものすごく油抜けが激しい。

 

濃い色のスエードって何もせずにそのまま履くと、あっという間に色落ちして白っぽくなりますよね

これが乾燥して油分が抜けた状態です

 

よく「スエードは防水スプレーだけでOK」なんてのを耳にしますが、天然素材のスエードがそれだけでいいはずありません

 

何より大事なのが保革保革保革なんですね

(大事なので3回いいました)

 

そうやって日々、保革しながら履いていき、それでも色落ちしたときは市販の補色スプレーで着色します

スエードって保革がきちんとできてるとモノスゴク水を弾くんです

(防水スプレーが要らないぐらいです)

 

試しに上記のスエードスプレーで保革して、乾かしてから軽く水をかけてみてください

転がるように水滴が落ちるさまは快感ですよ

 

逆にベージュなど色の薄いスエードはすぐに汚れてしまうので、保革後に防水スプレーも振って、できるだけ汚れないようにしてください

 

それでもクリーナーで落ちないレベルの汚れがついた場合は、素人には落とせないので靴のクリーニングに出しましょう

 

ネット情報でアレコレしてしまうと逆に汚れが落ちにくくなりますし、ついた汚れは定着する前に落とすべきです

 

帰宅時のお手入れで汚れが気になったら、翌朝の出勤時にクリーニングに出すぐらいでちょうどいい!

 

最近は普通のクリーニング屋さんでも靴のクリーニングをやっていることが多いです

クリーニング屋さんは開店が早く出勤時に出せることも多いです)

 

ちなみにですが

 

そうやってお手入れをしていても、どうしても毛が寝てテカテカしてしまい、金属ブラシでも毛が起きなくなってきたりします

 

そのときの対処として

 

〇紙やすりで削ってみる

〇いっそ靴クリームを塗ってしまう

 

なんて方法もあります

 

もちろんクリーニングに出すのが最適解なのですが、いかんせん費用と時間がかかります

「そこまでするほどでもないかな・・」という場合は上記を試してみてください

 

紙やすりは150番ぐらいかな?

チカラ技で毛羽立ちを復活させる感じですね

 

もちろんこれは最終手段ですし、やりすぎると大変なことになります

「キレイにしたいけどお金をかけたくない」という靴に対してだけ、恐る恐る試してください

 

それでもどうにもならない場合は、普通の表革用の靴クリームを塗ってオイルドレザーにしてしまいます

 

これはこれで独特の仕上がりになりますので、完全に別の靴として楽しむことができますよ

 

しかも薄い色の靴なら別の色付きクリームを塗ることで色替えもできるし、ムラになってもそれをアジとして楽しむこともできます

 

※色替えが失敗しても最終、黒いクリームを塗ればなんとかなります

 

こちらもモチロン、一度塗ると元のスエードには戻せませんので最終の最終の、最終手段として行いましょう

 

 

ああ、長くなりました

まとめますね

 

〇スエードの敵は乾燥

〇履く度に手入れして保革する

〇薄い色は防水スプレーをしっかり

〇汚れはクリーニングに出す

〇最終手段でオイルドレザーにするのも楽しい

 

こんなところでしょうか

 

現場からは以上でーす

 

 

 

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