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靴磨きのやり方、靴の選び方「本音」をプロが詳しく解説します

プロの目線で靴磨き、お手入れ、サイズ選びを解説します

靴磨きのやり方をプロが解説 〜ブラシの使い方〜

ブラシの役割は

 

・ホコリや砂汚れを落とす

・クリームを伸ばす

 

この2つです

 

ホコリや砂汚れを落とすのは柔らかく毛足の長い馬毛ブラシが最適で、優しく落とすことができます

 

ですが、「必ず馬毛ブラシ!」である必要はありません

なんせ馬毛ブラシは高価なんです

 

こだわらなければ柔らかく毛足が長ければけっこう何でもいいので

 

・髭剃り用のシェービングブラシ

・太めの毛筆

・アルコールの入ってないウェットティッシュでもよさそう

 

などで代用が効きます

 

もっといえば、百均で売ってる硬めの化繊ブラシでもそこまで問題にはなりません

 

もちろん本気で靴磨きに取り組むなら、専用のブラシがいいに決まっています

でも、そこまで本気ではなく「とりあえずパパっとキレイにしたい」ぐらいの感じなら、代替品でも充分なんです

 

それで物足りなくなってから(それぐらい本気になってから)ちゃんとしたのを買えばいいんですよね

 

ちなみにこの「ホコリを落とすブラシ」ですが、実は使わなくても、まあなんとかなります

 

例えば片足はちゃんとホコリを落としてから、もう片方は何もせずにそのままクリームをつけて磨き始めてみてください

 

※もちろん練習用の靴で。

 

両足クリームを塗ってそれを拭き上げてみると、左右の足の仕上がりに差を感じるのはかなり難しいと思います

 

当然これを繰り返すと、ブラシを使っていない方の足はだんだんと細かい傷がついていくはずです

でもそういった細かい傷は色付きクリームで案外ごまかせます

 

なのでホコリ落とし専用ブラシを使うかどうかは「コダワリ具合による」と言えそうです

 

 

注意点ですが、これら毛足の長い柔らかいブラシはアッパーとソールの境目に入り込んだ泥汚れには無力です

そういった汚れには豚毛や化学繊維(以下、化繊)の硬めのブラシでこすり落としてください

 

※化繊ブラシは百均で手に入ります

 

「そんな硬いブラしてゴシゴシすると革が傷つくのでは?」なんて不安にならなくても、一般的な表革はそこまで弱くありませんし、仮にすり傷がついたら色付きクリームで磨けば隠せます

 

つまり、そこまでコダワリがなければ、ホコリ落とし用には化繊ブラシが1個あれば、まあ事足りるってことです

もっといえば歯ブラシでもマッタク問題ありません

  

 

一方、上記に当てはまらない革、つまり硬いブラシでゴシゴシするとダメなのは

 

・エナメル

コードバン

 

あとは見るからに弱そうな蛇革などです

 

これらは表面がデリケートなので、代替品ではなくちゃんとお手入れしてあげましょう

 

これらの代表としてエナメルの説明をすると、エナメルは革の表面を樹脂コーティングしてるので、革でありながらお手入れの考え方はビニールと同じです

 

そう考えると

 

・ゴシゴシこすらない(傷がついて曇る)

・普通の靴クリームは必要ない(塗っても浸透しない)

・防水スプレーも必要ない(元々防水加工、スプレーは表面を曇らせる)

 

ことが理解できると思います

 

※エナメルについてはそのうち書きます

 

 

次に、クリームを伸ばすためのブラシですが、これは豚毛か化繊の、コシのある硬めのブラシになります

 

※ホコリ落とし用との併用は避けたほうがいいです

 

それでクリームを隅々に伸ばしながら、摩擦で革繊維に空気を含ませて仕上げていきます

 

「そんな硬いブラシで革が傷つかないの?」

なんて意見もありそうですが、力加減の問題です

 

お持ちのブラシで手の甲を少しこすってみてください

それで痛くないぐらいの力加減でやれば大丈夫です

 

では豚毛と化繊のどちらがいいか?

 

実は正直よくわかりません

これは何年も使ってみた経験に基づく感想です

 

クリームの伸び具合も、ブラッシングによるツヤの出方も、イマイチ違いがわかりません

 

厳密に言えば、革に与えるダメージなどに違いはあるでしょうが、体感できなければあまり気にしなくてもいいと思うんです

 

むしろ気になるのは値段で、豚毛は1つ1000円ぐらいしますが、化繊は百均で売っています

 

磨き用のブラシは各色ごとに揃える必要があるので、とりあえず百均でまとめ買いして使ってみて、物足りなければいいのを買えばいいんじゃないでしょうか?

 

何事もそうですが、安価なものと高価なものを両方使わないと違いがわかりません

いきなり高価ないい物を買って使っていても、それが実は「必要のない高性能」であることがマアマアあります

 

クリームやクリーナーは靴に与える影響が大きいのであまりに安価なものは怖いですが、ブラシなんて大した影響はありません

 

安価なブラシは1個110円です

10個そろえても1100円なら、とりあえずはそれでいいと思います

 

あと、先ほど少し触れましたがブラシは各色ごとに揃えるほうがいいです

 

黒い靴を磨くブラシをライトブラウンの靴に使うと、細かいシワに黒い色が入り込んで全体的に汚れて見えます

 

「そういったダメージスタイルを目指す」のならそれでもいいのですが、そうでなければやめておくのが得策です

 

逆に黒、ネイビー、ダークブラウンなんかは、少々色が入ってもわからないので、一つのブラシを使いまわしても問題ありません

 

特にネイビーとダークブラウンは相性がいので、使い回すことで深い色合いになったりします

 

※ネイビーとカーキも相性がいいです

 

そのへんは好みに合わせて揃えてください

 

たまにブラシを使わずに布でクリームを塗っていく人いますが

 

・アッパーとソールの境目など細かい部分にクリームが入らない

・布にクリームが染み込んで伸びが悪くムダが多い

 

という理由でオススメできません

 

同じ理由で、瓶入りのクリームを取るのに「小さなブラシ」を使いますが、実はこれも歯ブラシで代用が効きます

 

※小さなブラシ=400円ぐらい、歯ブラシ=98円

 

 

まとめると

 

・ブラシの役割はホコリ落としとクリーム伸ばし

・ホコリ落としは馬毛かそれに近い代用品でもOK

・ソール付近は硬いブラシで汚れ落とし

・クリーム伸ばしは硬いブラシを使う

・それは豚毛でも化繊でもOK、でも各色揃えるので安価な化繊に軍配

・瓶入りクリームを取るのは歯ブラシでもOK

 

つてとこかな

 

基本は、まず百均で揃えて使ってみて、物足りなければ高価なものに移行する

 

でいいと思います

 

現場からは以上でーす

 

 

次は少し戻ってクリームの容量について書きます

 

 

 

 

 

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